AnkiとSynt、どちらを使うべき? 医学や語学のように、何千枚ものカードを何か月・何年も覚え続けるならAnki。定期テストや期末試験のように日付が決まっていて、カードを一枚ずつ作る時間がないならSyntです。Ankiは「自分で作ったカードを、忘れる直前に出し直してくれる」道具、Syntは「手元のノートを、試験日までの要約・クイズ・暗記カードに変える」道具です。
この記事はSyntの開発者が書いています。Ankiのほうが優れている点も隠さずに書きます。料金と機能は2026年10月31日に、Ankiの公式サイトと両アプリのApp Storeページで確認したものです。
ひとことで言うと
Ankiは、間隔反復(忘れかけた頃にカードを出し直す仕組み)で長期記憶をつくる暗記カードソフトです。パソコン版(Windows・Mac・Linux)とAndroid版のAnkiDroidは無料で、iPhone・iPad版のAnkiMobileだけが買い切り¥4,000の有料アプリです。カードは自分で作るか、共有デッキを使います。
Syntは、あなたのノートや教科書の文章を読み込んで、AIが要約・クイズ・暗記カード・コンセプトマップを作るアプリです。試験日と目標点を入れると、その日までのセッションを日ごとに並べ、間違えた問題だけを言い換えて出し直し、前日には範囲全体の模擬試験を入れます。
比較表
| Anki | Synt | |
|---|---|---|
| カードを作るのは | 自分(または共有デッキ) | AI(読み込んだ教材だけから) |
| 復習のタイミング | SM2・FSRSのスケジューラーが一枚ずつ決める | 試験日と目標点から逆算した計画 |
| 要約・クイズ・コンセプトマップ | なし(標準機能では) | あり |
| 教材の読み込み | 手入力、共有デッキの読み込み | テキスト貼り付け、写真、リンク、ProでPDF・YouTube |
| 大量のカード | 10万枚以上のデッキにも対応(AnkiMobileの説明) | 範囲ごとに作成(作成回数に上限あり) |
| パソコン | 無料のパソコン版が本体 | ブラウザ版(スマホと同期) |
| 無料で使える範囲 | パソコン版・AnkiDroid・同期(AnkiWeb)はすべて無料 | テキストや写真から要約・クイズ・暗記カード・計画(作成回数に上限) |
| 有料 | iPhone・iPad版AnkiMobile 買い切り¥4,000 | Pro:App Storeのアプリ内課金一覧では年¥4,000〜・月¥1,500〜・週¥600〜 |
出典:Ankiの公式サイト(対応OSと無料・有料の区別)、AnkiMobileのApp Storeページ(価格と説明文)、SyntのApp Storeページ(アプリ内課金一覧)。Syntは同じ期間に複数の価格が並んでいるため、いちばん安いものを「〜」で示しています。実際の価格は購入画面で確認してください。
Ankiは無料? iPhone版だけ有料の理由
「Anki 無料」で調べる人が多いのは、ここがわかりにくいからです。整理するとこうなります。
- パソコン版(Windows・Mac・Linux):無料。公式サイトに「無料のパソコン版」と書かれています。
- Android版(AnkiDroid):無料。有志の開発者が作っています。
- 同期サービス(AnkiWeb):無料。パソコンとスマホのカードと学習記録をそろえられます。
- iPhone・iPad版(AnkiMobile):買い切り¥4,000。App Storeの説明によると、この売上がパソコン版とスマホ版の両方の開発を支えているため、パソコン用ソフト並みの価格になっています。
もうひとつ注意点があります。AnkiMobileの説明文は、名前に「Anki」と入った別のアプリが出てきているが、Ankiとは互換性がない、と注意を促しています。公式のiPhone版は「AnkiMobile Flashcards」(Anki Software LLC)です。また、同じ説明文では、まずパソコン版から始めることをすすめています。ノートタイプの変更などはパソコン版でしかできず、アドオンもiPhone版では使えないからです。
Ankiが強いところ
何年も覚え続ける仕組み。 SM2とFSRSのスケジューラーが、カード一枚ごとに次に出すタイミングを決めます。医師国家試験や語学の単語のように、数千枚を長期間覚えておく必要がある勉強では、この仕組みに勝るものはなかなかありません。
大量のカードと細かい調整。 10万枚以上のデッキにも対応し、検索条件でカードを絞り込んで専用のデッキにまとめることもできます。パソコン版ではアドオンで機能を足せます。
無料で始められる。 パソコンとAndroidなら一円もかかりません。共有デッキを使えば、カードを作らずに始めることもできます。
オフラインで使える。 画像や音声は端末に保存されるので、通信がなくても勉強できます(AnkiMobileの説明)。
Syntが強いところ
カードを作る時間がいらない。 Ankiでいちばん時間がかかるのは、カードを作ることです。Syntはノートを貼り付けるか撮影するだけで、要約・クイズ・暗記カード・マップがまとめてできます。試験まで2〜3週間しかないときは、作る時間をそのまま解く時間に回せます。カードを自分で作るときのコツは暗記カードの作り方にまとめました。
試験日から逆算した計画がある。 Ankiが決めるのは「どのカードをいつ見るか」までです。Syntは試験日と目標点を入れると、要約、クイズ、暗記カード、マップ、間違いの復習を日ごとに並べ、前日には模擬試験を入れます。計画の考え方は逆算で作る勉強計画でも解説しています。
問題が授業の言葉のまま。 問題も選択肢も、読み込んだ教材から作られます。先生のプリントの言い回しのまま練習できるので、定期テストと相性がいい道具です。
iPhoneでも無料で試せる。 SyntのアプリとWeb版は無料で始められます(作成回数に上限あり)。Syntならパソコンのブラウザでもそのまま使えます。
一方で、Syntができないこともはっきりさせておきます。カードを一枚ずつ手で書く機能、共有デッキ、アドオン、カードごとの間隔反復のスケジューラーはありません。何年も覚え続けたい用語は、Ankiのほうが向いています。PDFとYouTubeの読み込みはProの機能です。
どちらを選ぶか:3つのケース
国家試験や語学で、数千枚を何年も覚え続ける。 Anki。まず無料のパソコン版で始め、スマホでも続けたくなったらAnkiDroidかAnkiMobileを足すのが公式のすすめる順番です。
定期テストや期末試験が2〜3週間後で、ノートはある。 Synt。ノートを読み込んで試験日を入れれば、その日までの復習が並びます。まずはノートから問題作成のページで、登録なしで3問試せます。
両方使う。 試験範囲の理解と最初の練習はSyntでノートから一気に作り、試験が終わっても覚えておきたい用語だけをAnkiのカードに書き写す(SyntからAnkiへの書き出し機能はありません)。作るのはAI、長く覚えるのはAnki、という分担です。
ほかの暗記アプリとの比較は、Quizletの代わりになるアプリ5選、暗記メーカーとSyntの比較、WordHolic!とSyntの比較、モノグサとSyntの比較にまとめています。
Ankiについてよくある質問
Ankiは無料で使えますか?
パソコン版(Windows・Mac・Linux)、Android版のAnkiDroid、同期サービスのAnkiWebは無料です。有料なのはiPhone・iPad版のAnkiMobileだけで、App Storeでは買い切り¥4,000です(2026年10月31日に確認)。
Ankiはパソコンで使えますか?
使えます。パソコン版がAnkiの本体で、公式サイトから無料でダウンロードできます。AnkiMobileの説明文でも、iPhone版を買う前にパソコン版から始めることがすすめられています。
AnkiにはAIでカードを作る機能がありますか?
標準機能にはありません。カードは自分で作るか、共有デッキを使います。ノートからAIで問題や暗記カードを作りたい場合は、Syntのように教材を読み込んで作るアプリを組み合わせる方法があります。
AnkiとSyntは一緒に使えますか?
使えます。試験までの短期間はSyntでノートから要約・クイズ・暗記カードを作って計画どおりに回し、長く覚えておきたい用語だけをAnkiのカードに書き写す(SyntからAnkiへの書き出し機能はありません)、という使い分けができます。
まとめ
Ankiは、何千枚ものカードを何年も覚え続けるための、無料で完成度の高い道具です。Syntは、手元のノートを試験日までの練習に変える道具です。カードを作る時間があって長期戦ならAnki、試験日が近くて時間がないならSyntを試してみてください。